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後期高齢者医療制度について思うこと

先月から導入された後期高齢者医療制度は、75才以上の人に適用される制度だが、現役世代にも大いに関係のある制度である。

65才以上の高齢者の年間医療費は現役世代の5倍かかっている。人口動態からみて、近い将来、高齢者のほとんどが加入している国民保険は確実にパンクする。ぼくの勤めている会社の健保組合は、国民健康保険への支援金額の増額を理由に社員から徴収する健康保険料の引き上げを決定した。

厚生労働省は、国民健康保険財政を圧迫している高齢者の医療費が本当にすべてが必要な医療サービスなのかどうか疑問があることをを明らかにすべである。(ex.同じ病気で、複数の医療機関での受診している、慢性疾患で月1回の受診で良いのに週1回受診している。厚労省も政治家も高齢者に過剰な医療サービス受給の疑いがあることをマスコミの感情的反発を畏れずにもっと前面に出して議論すべきと思う。)

事実として過剰な医療サービスが提供されているかどうかは、ぼくには判断できない。過剰な医療サービスによって保険制度が危機に瀕しているのならば、それを省くための制度は導入すべきだ。真に必要な医療サービスであって受益者(高齢者)が費用の負担できないのならば現役世代なり、高齢者世代内の余裕のある者が負担せざるをえないだろう。

後期高齢者医療制度を老人いじめというが、この制度の財政で、高齢者の世代内負担で賄われるのは毎月徴収される保険料による1割に留まり、残り9割は税金と、現役世代の保険からの支援金によるものになる。

現状の健康保険制度のように現役世代のものとどんぶり勘定にしておく仕組みでは、受益者(高齢者)と負担者(現役世代)が別になっており、受益者(高齢者)に過剰な医療サービスを受けることを抑制するインセンティブが働かない。ひとまず受益者に医療サービス需要の抑制のためのインセンティブを与えることにこの制度の意義があるのではないか?現在のようにマスコミや一部の政治家が感情論を煽って、この制度を廃止すれば高齢者の医療費抑制は望めず、またしても問題が先送りされるだけである。

仮にこの制度を導入した結果、現状と比較して個々の高齢者の受ける医療サービスのレベルが多少減ったとしても、高齢者数の増加ピッチが早いので、この後期高齢者医療制度は数年でパンクする可能性が高いと思う。だから現役世代も高齢者世代も負担増は確実と思う。でも、高齢者に過剰な医療サービスを受けないようにするインセンティブを付与して、医療費抑制努力をしてもらった上でなければ、現役世代としては、応分の負担増を受入られないのではないか?

ぼくは、3年後のアーリーリタイアメントを目指している。そのため、以降の生活費がいくら必要かを現在の制度を前提にして計算しているが、現行の制度の維持を前提として必要な医療費を考えるのは危険だと思うようになった。かといって、今のままだと、どれだけ多く医療費を見積もるべきかも判らない。

年金も健康保険も、世代間扶養の制度なので、少子高齢化が進行してゆくことを考えれば、制度の持続性に無理がある。今後の負担増はやむをえない。いずれにしても、現行の制度を持続可能な制度に改正してもらえないと将来の生活設計そのものが立てられない。持続可能な制度なら、いくら負担増になるのかを明らかにしてもらいたいものだ。

ぼくの理解不足により、記載内容の事実関係に誤りがあるかもしれません。誤りがあれば指摘いただければ幸いです。
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健康保険制度について思うこと

●健康保険制度には、3つの要素があると思います。
 a)リスク軽減・・・・医療等による経済的なリスクの軽減
          (狭義の保険)
 b)所得移転・・・・・保険料は、所得によって差がある。
          (国民健保なら所得割、組合健保なら標準報酬月額)
 c)福祉施策・・・・・医療費自己負担割合は、老人は少なくしている。
          (通常は3割、義務教育就学前は2割、75歳以上は1割。
           その他自治体独自の福祉施策がある。)

●従来の保険者と被保険者の種類
 a)組合健保・・・・・(ア)企業等の従業員とその被扶養者
            (イ)75歳未満の企業退職者とその被扶養者
 b)国民健康保険・・・(ア)個人事業者とその被扶養者
            (イ)75歳以上の企業の退職者とその被扶養者

 75歳以上の老人保健医療制度は、組合健保から切り離されて、国民健康保
 険で実施されていた。したがって、老人の割合の増加と共に、国民健康保
 険の収支バランスが悪くなる。(老人の所得が少ないため、保険料収入が
 少ない。老人の医療機会が高いために、支出が多い。)国民健康保険は市
 町村単位で実施しているために、財政基盤の弱い自治体では保険制度を維
 持することが困難。

●後期高齢者医療制度のねらい
 a)組合健保も高齢者の保険料を40%負担する。
 b)実施単位を市町村から広域連合に拡大する。

●問題点
 a)世帯単位保険から個人単位保険に変わった。
  従来息子の被扶養者として保険料を支払っていなかった場合に新たな負担
  が発生するなど。
 b)実施単位の変更に伴い、自治体独自の老人福祉施策が無くなる。
 c)高リスクグループのみの制度であるため、後期高齢者の保険料負担が将来
  的に増加する可能性がある。

 a)とb)とは、具体的な保険料の増加事例が報告されています。
 c)については、負担割合が1割と言うものの「何故75歳以上を別の制度にする
  のか」と疑問が出されています。高リスクの者だけで完結する様にするのか、
  低リスクと組み合わせたシステムにするのか、保険であれば後者ではないで
  しょうか。75歳以上の高齢者の大部分は、年金や預貯金の取り崩しなど、過
  去の収入によって生活しているわけですから負担の増加は望ましくありません。

●意見
 健康保険制度は、3つの要素が絡んでいるために、年金制度以上にわかりにくく、
 複雑になっています。
 a)リスク軽減については、年齢や勤労状態によって区別せず、個人単位の一律
  保険料とすべきではないでしょうか。
 b)所得移転は、所得税、法人事業税でまかなうべきではないでしょうか。
 c)福祉制度は、国レベル、自治体レベルで継続的に実施すべきと思います。

 過剰な医療サービス受給の問題があるのでしょうか。一昔前までに、病院のロ
 ビーが老人のサロンと化していると言われたことがありましたが、最近はその
 ような光景は見かけませんがどうなのでしょう?
 もしあるなら、健康保険制度とは別問題として対策すべきと思います。必要な
 医療サービスが受けにくくならないように、配慮すべきだと思います。

通りすがりさん、

明快な整理をありがとうございました。

健康保険制度について、所得移転と福祉制度が含まれているというのは確かにそうですね。健康保険に入ってないと保険給付が受けられない点をのぞけば、健康保険料は目的税と変わるところがないような気がしてきました。

社会保険料として徴収されると、取られる方としては「税金を取られる」よりマイルドな印象を持っていましたが、実質は税金と変わるところがないような・・・。

老人医療費についての僕の意見は単純で、税負担の問題と同じではす。すなわち、真に必要な公共的な支出を賄うのならば増税やむなし。だけど、その前にその支出は真に必要な支出であることが証明されてなけれぱ増税は嫌だ。

それと同じで、医療サービスの過剰受給の問題があるとすればまず受益者がそれを適正にするような仕組みが必要と思います。その上でならば、健康保険料の形にせよ、税金の形にせよ、負担増やむなしと考えています。

たしかに、後期高齢者医療制度が、必要な医療サービスが受けられなくなるような制度ならば問題と思います。

一方で、現在の高齢者の医療保険制度が、医療サービスの需要者、供給者に過剰なサービスにならないようにするインセンティブの仕組みが内包されていなければ、その仕組みは必要と思います。

こんばんは

> 医療サービスの過剰受給の問題があるとすればまず受益者がそれを適正にするような仕組みが必要と思います。

●過剰受給について

昭和48年から老人医療費支給制度が実施され、70歳以上の高齢者の医療自己負担分は国と自治体が負担する様になりました。このため「必要以上に受診が増えて病院の待合室が寄り合い所的な場所になっている」といった問題が指摘されるようになりました。また、介護サービスを必要とする場合にも、社会福祉施設に入所するよりも老人医療費が無料で手続きが容易な医療機関に入院するほうが費用の負担が軽いため、「社会的入院」を助長していると指摘されていました。

徐々に財政負担が重くなり、昭和58年から400円/日の定額自己負担をするようになり、平成13年からは1割負担するようになっています。タダであったものが一部でも負担するようになってから、サロン化や社会的入院の問題はずいぶん少なくなっているように思います。私の高齢の母やその友人の様子を見ていても、無駄な医者通いをしているようには思えません。過剰受給を問題にしている人たちは、昔のイメージで話しているような気がします。(実態調査が必要です)

●適正にする仕組みについて(過剰受給が本当に問題であるとして)

75歳以上の高齢者をまとめた健康保険制度を作り、「医療費総額が上がれば保険料も上がる」という仕組みを作っても、過剰受給の適正化が出来るとは思えません。たまたま75歳以上でまとめられているだけで、お互いに見ず知らずの人同士ですから、相互に影響することはないのです。適正に健康保険を利用している人にとっては、知らない人が過剰受給することによって、自分の保険料が上がってしまうことは迷惑至極です。

自己抑制をさせる仕組みとしては、「自己負担額を現状の1割から引き上げる」のが一番有効ではないでしょうか。ただし、その場合には年金支給額を引き上げたり、本当に医療を必要とする人に対する適正受給額を引き上げる必要があります。余計に問題が複雑化しそうですね。

過剰受給をなくすには、過剰受給であることを、その本人と医療機関とに対して具体的に示す必要があります。そして、このことは、年齢には無関係の取り組みであるはずです。

●何故世代間の問題になったのか

国民皆保険と言いながら、各企業などの組合健保、市町村の国民健康保険など、バラバラの体制の寄せ集めです。老人保険制度は国民健康保険で扱っていました。今後益々高齢者の割合が増加しますので、国民健康保険は、所得比例の収入が少なくなり、医療費支出の割合が多くなり、成り立たないことは目に見えています。したがって、組合健保にも拠出を求めたのですが、今後どんどん拠出金が増えるようでは組合員の納得性がないと言う意見が多くなりました。そこで、75歳以上を独立した健康保険の単位として、国民健康保険と組合健保からの拠出金を4割に固定したのが今回の制度です。現役世代の負担というのは、国保と組合健保の拠出金という意味です。

●意見

私は、このような継ぎ接ぎの制度を根本から変革しないと解決しないと思っています。健保単位を一本化し、保険、所得移転、福祉の制度を整理する必要があります。そうすれば、しゅうんさんに、「その支出は真に必要な支出であること」を説明できるようになると思います。

通りすがりさん、

丁寧な解説ありがとうございます。

たぶん、健康保険制度と介護保険制度を総合的に見直す必要があるのでしょう。

政治やマスコミは、もっと論点を整理して国民に呈示してくれないと、社会保険料を払う甲斐がないですね。
プロフィール

しゅうん

Author:しゅうん
・50才を超えたサラリーマン。家族はキャリアウーマンの妻、子無し。

・55才までにサラリーマンをアーリー・リタイアして、大学か大学院で人間や社会について学びたいと思っています。何を専攻するかのヒントを得るため各種の公開講座に参加するようにしています。

・アーリー・リタイアといっても、完全に仕事から引退するのではなく、週3日~4日は何らかの形で働きたいと思っています。ただし、その場合、好きなことを仕事にするようにしたいと考えています。

・アーリーリタイアの準備(資産形成、健康、生きがい、趣味等)を中心に記事をエントリーしています。

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